はじめに
「気づけばおもちゃが部屋中に散乱している」「おもちゃ箱をひっくり返すのが日課のよう」——育児中の保護者の多くが直面するこの光景。特に発達障害や発達がゆっくりなお子さんの場合、こうした行動が日常的に見られることがあります。
本記事ではおもちゃを全部出す子どもの行動の背景とその心理、そしてお片付けがうまく進むような工夫について解説します。
おもちゃを全部出す子どもの心理とは?

視覚的な満足感を得たい
子どもたちは「見渡すことで安心する」という傾向があります。特におもちゃ箱にたくさんの種類が入っていると、自分の“おもちゃコレクション”を確認するかのように、まず全部出したくなってしまうのです。
出す行為そのものが遊びになっている
「遊ぶために出す」というより、「出すこと自体が楽しい」段階にあるお子さんも多くいます。感覚的に楽しむこの行動は、大人の目には「散らかしている」と映っても、子どもにとっては創造的な時間なのです。
全体を見てから選びたい
「これで遊ぼう」と決めてから取り出すのではなく、まずは全部出してから選ぶというのが、幼児期のよくある行動パターンです。これも発達段階として自然なことです。
対策①:おもちゃの「量」と「収納」を見直す
小さめの箱を複数用意する
大きなおもちゃ箱に全てを詰め込むのではなく、用途や種類別に小分けにした収納を用意することで、ひっくり返しても被害(?)が限定されます。
例えば「とっておきのおもちゃ箱」としてお気に入りだけを入れる箱を作り、「ここから選ぼうね」とすることで出す量を自然にコントロールできます。
遊んでいないおもちゃは“ローテーション”
長期間使っていないおもちゃは、子どもがいないときに別の箱へ移して保管しましょう。子どもに「これはどうする?」と聞いてもたいてい「使う」と言われてしまうため、大人側で判断するのがポイントです。
対策②:「片付けて!」はあいまいすぎる?

「お片付けしよう」と伝えても、2~3歳前後の子どもにはその意味や手順がまだ理解しづらいものです。特に発達に凸凹のあるお子さんにとっては、「どうすればいいのか」が明確でないと行動につながりません。
一緒に片付け、できたら褒める
まずは親が一緒に片付けることで、「片付けとはどういうことか」を体験的に教えます。行動が少しでもできたらしっかり褒めることが、次の行動を促すモチベーションになります。
幼少期は“習得のプロセス”と捉えて
片付けはすぐに身につくものではありません。大人でも苦手な人がいるように、子どもにとってはなおさらです。焦らず、長い目で見て付き合っていきましょう。
次の章では、2歳前後によく見られる「おもちゃを投げる」「手が出る」などの行動に対し、どのように予防的に関わればよいかを解説します。
遊びの集中と「問題行動」の関係
集中が切れる=次の行動が見えない
2歳児は、夢中になると高い集中力を発揮しますが、ひとたび集中が切れると、「次にどうすればよいか」が分からず、フラストレーションとして手が出る・物を投げるなどの行動につながることがあります。
予兆に気づくことが予防の第一歩
「ちょっと飽きてきたな」「うろうろしはじめたな」などのサインが見られたら、新しい遊びを提案したり、環境を変えるなどの工夫を取り入れることで、問題行動を防ぐことが可能になります。
急な行動には「止めて→切り替える」
投げたり叩いたりする行動が起きた時は、「ダメ!」と感情的になるのではなく、
- 行動を静かに止める
- 新しい遊びや活動に誘導する
というステップで対応することが効果的です。
注目で行動が強化される?
ネガティブな行動にだけ注目してしまうと、「これをすれば見てもらえる」と学習してしまうことがあります。そうならないためにも、“良い行動のときに注目する”ことを意識してみましょう。
並行遊びの活用と発達の理解
並行遊びとは?
2歳児に多いのが、他の子と関わらず近くで別々に遊ぶ「並行遊び」です。この時期はまだ共有や協力が難しく、トラブルが起こりやすいため、個別に楽しめる遊びの準備が大切です。
発達段階を理解する
「今、この子はどのステップにいるのか?」を意識することが、的確な対応に繋がります。無理な期待や一律のルールではなく、その子のペースに合わせた関わりが重要です。
おわりに

「発達障害 おもちゃ 全部 出す」という行動の裏には、子どもなりの理由や成長のプロセスがあります。ただ叱るのではなく、背景にある気持ちや発達段階に寄り添いながら、予防的・肯定的な関わりを心がけましょう。
日々の保育や育児の中で、ぜひ今回の内容を少しずつ取り入れていただけたらと思います。子どもたちが安心して遊び、少しずつ片付けも覚えていける、そんな環境づくりを一緒に進めていきましょう。
ご相談やお困りごとがありましたら、当社の支援サービスもお気軽にご活用ください。この記事は福祉サービスを提供する当社が、発達に不安を抱えるご家庭を支える一助となることを願って発信しています。
杜のつぐみ療育園では
・コミュニケーションが苦手な子 ・行動コントロールが苦手な子 ・気持ちのコントロールが苦手な子 ・変化に敏感な子 ・注意散漫になりやすい子 |
上記のお子様に対し、見守るだけではなく
・楽しくお話できたら、「楽しくお話できたね。」 ・おもちゃを貸してくれたら「貸してくれて優しいね。」 |
等々、話をする中で「自己肯定感」が高くなる様な、接し方を意識しております。
また、お子様それぞれの特性に合わせた、課題を考え計画に沿っての支援を行っております。 まずはちょっとしたことでも、お気軽にお問い合わせください!
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