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【管理栄養士歴18年が解説】当たり前だけど知らない高齢者施設給食の衛生管理で“絶対”に守るべき6か条

    はじめまして。こんにちは。 プリサートです。 高齢者施設に携わる皆様へ役立つ情報をお届けしていきますのでぜひ読んで下さい。
    さっそくですが、初回は高齢者施設給食の衛生管理についてお話していきます。
    栄養士歴18年の私ですが、さまざまな高齢者施設で給食の仕事をしてきました。 その経験を活かして、「こんな施設はキケン!!」ポイントを6つお伝えします。

    ポイント1 段ボールを厨房内に持ち込んでいる施設はキケン!!

    食材や備品・消耗品の納入時、業者は段ボールに食材などを入れてもってくることがよくありますが、その段ボールをそのまま厨房内に持ち込むのは非常に危険です。
    段ボールには細かい粉塵に混じり、微生物が多く付着しています。
    配送中にどんな扱いを受けたかもわからず、もしかすると食中毒菌が付着している可能性もあるのです。
    また、段ボールには構造上トンネル状の穴が開いていて、その穴に衛生害虫(ゴキブリやハエ)が潜んでいたり、卵を産み付けているかもしれません。 食品衛生上、食品を扱う厨房内に段ボールを持ち込むのは危険ですが、忙しさを理由に段ボールを厨房内に持ち込む施設もあります。
    納入時に段ボールからコンテナ等に移し替えている施設は衛生管理がしっかりできていると言えます。

    ポイント2 事務所が汚れている施設はキケン!!

    栄養士などが発注等の事務作業を行う事務所。
    直営の場合、栄養士は施設の事務所を使用することが多いため、汚れていることはほとんどの場合ないでしょう。
    では、委託の場合はどうでしょう。施設職員の出入りはほとんどなく、委託側の従業員だけが使用します。

    ・書類が整理されておらず、必要な書類がどこにあるかわからない。
    ・仕事に関係ない私物が持ち込まれている。
    ・従業員に渡さなければいけない書類を渡し忘れてそのままになっている。
    ・掃除をしないため、ほこりや髪の毛がたくさん落ちている。


    こんな事務所があったとしたら、その栄養士は管理者に向いていないと考えられます。

    衛生面を管理しなければいけない立場の栄養士がほこりだらけの事務所で作業をしているなんて、考えるだけでゾッとします。

    ポイント3 従業員の入れ替わりが激しい施設はキケン!!

    新しい従業員が入社したばかりなのにもう見掛けない。なんてことありませんか?
    もちろん入社した従業員の都合などで退職する場合もありますが、厨房の環境が理由で退職する場合のほうが多くあります。
    新しく来た従業員は、「うまく馴染めるだろうか」「仕事を早く覚えなければ」と多くの不安を抱えて来ます。
    たくさんコミュニケーションを取り、その不安を1日でも早く取り除いてあげることで仕事への不安が軽減され、少しずつ新しい環境に慣れていくものです。
    コミュニケーション不足の場合、環境に順応することが出来ず、結果退職へと繋がります。職場の雰囲気も大切で、従業員同士が仲良く仕事ができる環境であれば早めに馴染むことが出来るでしょう。
    しかし、殺伐とした雰囲気ではコミュニケーションを取ることもなく、新しい従業員が質問も出来ないような環境では、辞めたくなりますよね。
    そうなると結果的に、食事の味が安定しない・盛り付け方が統一されていないなどのクレームに繋がっていきます。 管理者だけではなく全ての従業員が、新しい従業員に気を遣える、コミュニケーションをはかれている施設はお客様からの信頼も得られる施設になっていきます。

    ポイント4 異物混入が多い施設はキケン!!

    こちらは言うまでもなくキケンですね。
    異物混入が多いということは、施設内(厨房内)の衛生管理が出来ていないということになります。実際に異物混入で多いのは「髪の毛」「ビニール類」ですが、では何をしていないからそうなるのか説明します。
    「髪の毛」が混入する原因は、大きく2つあります。
    1つ目。作業に入る前白衣にコロコロをしますが、コロコロが不十分で髪の毛やほこりなどの異物を取り除き切れていないため。
    2つ目。帽子から髪の毛が出ていて、途中で抜け落ちてしまうため。
    どちらも注意を払えば防げるはずなのに、事故が起きてしまうのは従業員の少しの気の緩みがあるからです。
    いままで大丈夫だったから今日も大丈夫だよね。というほんの少しの緩みが事故を引き起こします。

    「ビニール類」が混入する原因も大きく2つあります。
    1つ目。食材をカットしている際、ビニール手袋まで一緒にカットしてしまい気付かずそのまま盛付→提供してしまう場合。 透明なビニール手袋を使用している場合は、食材と混ざってしまったら探すことは非常に難しいです。そんな事態を防ぐために色付きのビニール手袋に変えるなどの工夫が必要です。
    2つ目。ラップやビニール袋の破片が気付かぬうちに混入している場合。 食材を開けたとき、切れ端を落としてしまった後その切れ端がどこにあるかわからず、結果お客様へ提供してしまった。
    ラップを取る際に、端のほうが入ってしまって気付くことが出来なかった。など異物混入の理由は多様にあります。 異物混入を防ぐために、異物混入に繋がるリスクを周知・徹底することが大事です。
    また、最終的に食事提供前に目視でのチェックは必ず行わなければなりません。

    管理者だけでなく、従業員全員が異物混入を防ぐ知識を身に着けている施設は異物混入が少なく、お客様からも信頼されています。

    ポイント5 食器が常に汚れている施設はキケン!!

    いつも食器が汚れている施設ありませんか?
    長く使用して汚れが蓄積されて落ちない汚れは百歩譲って仕方ないとしましょう。でも、洗い残しで前回の食材がこびりついているとしたらそんな食器で食事したくありませんよね。
    食洗機を過信して、下洗いを怠ってしまうと実は汚れは落ちません。
    業務用の食洗機をもってしても完ぺきではないのです。だからこそ下洗いが重要なのに、洗いあがりの確認すらしないのでそのまま乾燥庫行き。汚れがこびりついた食器が完成します。
    せめて盛り付ける際に汚れに気付くはずなのに…そのまま盛り付けて提供してしまう施設はマジでヤバいです。
    正直ありえません。直営であればおそらくこんなことはないでしょう。
    ただ委託だった場合は早々に契約を切ることをお勧めします。

    ポイント6 ユニホームが汚い施設はキケン!!

    家庭での洗濯はいくつもの食品汚染の可能性を含んでいるため、HACCPの考えを取り入れた衛生管理では推奨されていません。
    また、家庭で洗濯している場合管理が難しくなります。 毎日洗濯しているか、1週間に1回なのか、もしくは洗濯をせず同じユニホームを着続けている可能性だってあります。
    従業員全員の均一な衛生状況を確保するために、専門のクリーニング店などに回収を依頼している施設はHACCPの考えを取り入れた衛生管理を順守していると言えるでしょう。

    ここまで「こんな施設はキケン!!」ポイントをお話ししてきましたが、そもそもHACCPってなに?とお思いの方もいると思いますので、ご説明します。
    HACCP(ハサップ)とは、食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等危害因子(ハザード)を把握したうえで、原材料の入荷から製品の出荷に至る全行程の中で、それらの危害因子を除去または低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようとする衛生管理の手法です。
    すごく簡単に言うと、美味しい食事を安全に提供するための重要な衛生管理の方法ということになります。

    今回は上記で説明したHACCP考えを取り入れた衛生管理に基づいてお話をしてきました。
    あなたの施設ではキケン!!ポイントがいくつ当てはまりましたか?1つも当てはまらず衛生管理がバッチリされていることを祈りますが、そうではない施設のほうが多いかもしれませんね。
    直営の場合、経営者や施設長などの管理者が厨房に行って確認するのはそう難しくはないと思います。しかし委託となると、委託業者との関係性にもよると思いますが、厨房や特に事務所を覗くのはハードルが高いでしょう。
    そういう場合は、食事会議や打ち合わせの合間に少し時間を設けて、厨房と事務所をみてみるとその場でキケン!!ポイントがいくつあるか確認できると思います。
    もしキケン!!ポイント6つのうち3つ以上当てはまる場合は、栄養士や管理者にこの話をしてください。それでも改善がみられない場合は、栄養士や管理者を代える、もしくは委託業者を替えることをお勧めします。

    食中毒や異物混入が起きてから対応しても遅いのです。 いますぐにでも実践してください!!!

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