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【発達障害の特徴の一つ】指差ししない・喋らない・指さししなかった理由と対策を解説【種類 1歳・1歳半・2歳】

    この記事では、下記内容を5分で理解できます。

    ・指さしはどんな時に子どもは使用する?
    ・指さしをはじめる期間や発達のプロセス
    ・人や物と指差しの関係性について
    ・成長に合わせて複数の意味を持つ「指さし」の意味
    ・発達障害、知的障害などがある子どもの指さしの特徴について
    ・指をさす代わりにとってしまう「クレーン行動」について
    ・成長するための保護者と子どもの指さしの練習法について
    ・子どもが指さしをせず、不安に感じている保護者の相談実例について
    ・まとめ

    こんにちは。当園児発管のAです。
    この記事を閲覧いただいている方は、子どもが成長するにつれて行う、指さしを子どもがしないのは一体なぜなのか悩まれているかと思います。
    今回はその指差しを理由や、発達障害との関係性、今後の対応方法についてまで、ご紹介していきます。
    それでは、早速本題に入りましょう。

    指さしは「人」や「もの」をつなぐコミュニケーション時に使用する

    子どもが1歳~になっても、指さしをしないかったり、1歳6ヶ月健診などでも指さしをされていないと指摘されたり、心配になることはございませんか?
    指さしするまでの子供の成長と、心と体の仕組みを知ることで「指さし」の本当の意味が分かり、安心できます。
    多くの保護者の方が悩んでいる子供の「指さし」ができるまでの、流れや段階を解説していきます。

    指さしはどんな時に行う?=「もの」と「人」とをつなげる手段のひとつ

    「指さし」は、自分自身と対象の物との間などに、他の人が一緒にいる場合、行う動作です。
    自分(子ども)が今見ている物を「とってほしい」「見てほしい」などの意思を他の人に伝えたい。という気持ちから、行う行動となります。興味をもったものなどを人と共有したい!
    という想いによって、指さしをするという行為に繋がります。
    それでは指さしをするようになるまでに、どのようなプロセスで成長していくのでしょうか。

    子どもが指さしをはじめる期間や発達のプロセス

    ①目線(アイコンタクト)からはじまる

    他の人と視線が合ったときや、笑いかけられる、呼びかけられる、などをすることで、子どもは自分自身がここにいることに気づきます。
    自分自身も視線を見ている人に向け、笑い返したり目くばせをするような、つまり「アイコンタクト」をはじめます。
    このタイミングで、子ども自身と他の人(保護者等)との関係が生まれはじめます。

    ②「子ども自身」「別の人」「物」の3つの関係からはじまる指さし

    次に、赤ちゃんは周りにある物に興味を持ち、触れるようになってきます。
    物を握る力がつけば、触れたものを握り、手に持ってみます。
    それをゆすってみたりして音が鳴ることを学んだり、手を離すことで物が落ちるなどの経験をしていきます。
    ここではじめて、自分と物との関係を理解します。

    ・自分自身と大人
    ・自分自身と物

    この二つの間にある関係を専門用語で「二項関係」と呼びます。
    この二項関係を学んだ後、もう1つ別の関係が出てきます。

    他の人(ここでは大人とします。)が自分(子ども)のほうではなく、少し離れたところにあるおもちゃに気づき、視線を変えました。

    ここで、子ども自身と大人の二つの関係だけではなく、もう一つ別の要素(おもちゃ)が入ってくることになります。

    子ども自身が、自分ではなく大人がおもちゃを見ている!ということに気づきます。
    そこではじめて「自分」と「他の人」と「おもちゃ」という3つの「三項関係」が発生します。この三項関係が、成長に非常に大きなポイントとなります。

    三項関係を理解できたにより、子どもは、自分を見ていないときの大人が見ている視線の先を追いかけはじめます(視線追従と言います。)
    大人が見ているのが物の時、その物がテレビの様に動くものの場合、子どもは動くものに興味持ち、テレビを見るというケースが発生します。

    このタイミングで、大人が見ているものに向けて指をさします。
    そのとき子供が目の前に出された手や指のほうではなく、指指しの先を見てくれるかが、成長の大事なカギとなってきます。
    大人が指をさした先を子どもが目で追うことができると、子ども自分と物の間の空間を理解できていることに繋がります。

    1歳6ヶ月健診での指差しの確認について

    1歳6ヶ月健診で「指差し確認」をするケースが多々あります。
    上記でもお話したとおり「子ども自身」「他者」「それ以外の物」の三項関係を理解しているか、指さしの先を見る(追う)ことができるかという点で、子どもの成長を確認します。

    成長に合わせて複数の意味を持つ「指さし」の意味

    指さしには成長につれての複数の意味があります。
    時期段階的に、ご説明していきますね。

    9~10ヶ月ほど 対象物の方を向く「指向の指さし」

    9~10ヶ月ほどで「おもちゃだよ」と言われ指さされると、指差しの先を見ることができるようになっていきます。
    今までは出された指自体を見てしまったりするのですが、指をさした先へ何かがある。ということに気づきはじめ、指差しの先を見始めるようになります。

    11ヶ月ほど 「自発的指さし」

    11ヶ月ほどでは、興味をもったおもちゃなどを、大人に伝えようと、「あー!」と発音しながら、自ら指をさそうとします。
    指さしや手を伸ばした先のものを、大人が一緒に見てくれると理解することから、さらにコミュニケーションのことをわかるようになっていきます。

    1 歳ほど 「要求手段の指さし」

    1歳ほどから、子どもが突発的に興味をもったタイミングだけではなく「ほしい!」という意思をこめ指さしを行います。
    ほしいものを取ってほしい。という要求の方法とし、指さしをするようになります。

    1歳~1歳6ヶ月ほど 社会性の発達による「共感指さし」

    1歳~1歳6ヶ月ほどでは、ものを見つけたら「あ!」と発音したり「わんわん!」等言葉を話そうとしながら指さしを行い、大人に伝えようとします。
    指さしをして大人の表情を見たり、感覚を分かち合おうとし始めます。ここでも、子どもが成長していることを実感できます。

    1歳 6ヶ月ほど 答える「応答指さし」

    1歳6ヶ月ほどでは、テレビなどを見ながら「猫はどこにいるかな?」と大人が聞くと、猫を対指さすようになっていきます。(応答の指さし)
    他にも「おもちゃはどこにあるの?」と大人が聞くと、この部屋におもちゃがなくても、おもちゃがある方向に向けて指をさします。更に進んだ指さしを行っていきます。

    指さしの成長差について

    上記については、あくまで目安となります。そのため早まったり遅れたりと、子どもによって速度は当然変わってきます。
    身体的な成長タイミングによっては、うまく指さしができないケースもございます。

    ですが、悩まなくても保護者と子どもで一緒に、練習を行うことで、いずれは出来るようになっていきます。
    人差し指を1本だけを使用するのが難しい場合、手のひら全体で方向を指すことを「手ざし」と呼びます。こちらも同じ役割で良い練習になります。

    発達障害、知的障害などがある子どもの場合の指さしの特徴は?

    ここでは、指差しと発達障害や知的障害の関連性についてご説明します。
    発達障害の場合、指さしが出来るようになるのが遅れたり、しないケースがございます。

    理由としては、「指さし」をするのは周囲への興味・欲求があるためです。
    発達障害や知的障害ケースだと、周囲への興味関心が薄く、指さしをすることが少ない可能性がございます。

    他にも、自分自身が求めているものを理解してもらうための「要求指さし」、聞かれたことの返答の「応答指さし」はできたとしても、人自体への関心が弱いケースだと「○○を一緒にやりたい」などの「共感指さし」をしないこともございます。

    下記では、指差し以外でも発達障害の傾向があるのではないか、と不安に思った際のチェックリストとなります。参考にしていただければ幸いです!

    指をさす代わりにとってしまう「クレーン行動」について

    指と物との間にある空間を理解できない、指さしの意味が分からないし気づかないケースも。
    この様な場合、たとえばほしい物があるときに、他の人の手をとり物のところに誘導する「クレーン行動」を行うことがございます。
    自閉スペクトラム症のある子どもが行う現象の一つとして、指さしの代わりにする行動の「クレーン現象」とも言われています。

    ただ、クレーン行動をするからと、必ず発達障害があるというわけではございません。
    成長速度や環境にも左右されますので、一概には言えません。
    下記記事では「クレーン現象」について詳しく解説しています。気になった方は、参考にしていただければ幸いです。

    成長するための保護者と子どもの指さしの練習法について

    上記クレーン行動がみられる際、指さしを使う理由がわかるように練習が必要な場合もあります。
    指さしができるようになることで、自分の意図が周囲に伝わるようになり、子ども自身も嬉しくなっていきます。
    下記では、その練習方法をご紹介していきます。

    大人の指さしへ注目させる練習方法

    はじめに大人が指さしのお手本を行います。おもちゃ等を目の前におき、指さしして「おもしろいね」など言いながら子供の気を引きましょう。

    続いて、子どもが指などで示そうとしたときに「あるね!」「かわいいね」などを言い、一緒に見て共感していることを伝えるようにしましょう。
    この時に反応しないと、指さしの意味が、子どもに伝わらなくなってしまいます。

    子どもが手を出した時、指さしの形へ誘導する

    手を出したとき、指さしの形ではない場合、大人がさりげなく、指さしの形に誘導してあげましょう。
    このとき、人差し指以外の手はそっと覆ってあげ、自然と指が曲がるように教えてあげることがポイントとなります。
    他には、指を順番に1、2、3…と立てる練習や、親指と人さし指でOKの形をつくって、人さし指だけ伸ばしたり、色々な形を作って指1本ずつを動かす経験を積ませてあげます。

    子どもに二択で選ばせる練習

    おもちゃを二つ目の前に置き、どっちで遊ぶ? と問いかけます。子どもは興味があるほうに手を伸ばしますので、指をささなかったとしても「選べたね。すごいね。」とほめてあげましょう。

    指さしの動画を見せての練習

    動画や絵本などを使っての練習も効果的です。
    YouTubeなどで「指さし練習」と検索し、アニメーション等の動画を閲覧しましょう。ちなみにこれは保護者が一緒に声掛けしながら見ることが大事になってきます。

    子どもが指さしをせず、不安に感じている保護者の相談実例

    指差しを行わず、発語もなく、不安に思っています

    まったく指差しをしないので心配しています。1歳1か月です。
    欲しいものは指をささず、自力で取るもしくは泣いて訴えてきます。
    まだ発語はなく喃語のみの状態です。

    目は合いますし表情もちゃんとあって機嫌もよくて、名前を呼んだりすると振り返ります。
    また、私が指差した方向もしっかりと見るし、読んでほしい本などを私の顔の前や手元まで持ってきます。
    手づかみでいっぱい食べ、寝てくれる。まったく手のかからない子でした。

    しかし、最近、ぜんぜん指差しをしないことに気づきまして、不安に感じています。
    この様な状況で、発達障害の可能性はございますでしょうか。
    これから対応としてはどういったケースなら、病院を受診する必要があるのでしょうか。
    どうぞよろしくお願いいたします。

    上記相談の回答

    ご連絡ありがとうございます。
    頂きましたお子さんの様子を見た限り、現時点では問題心配はないように思います。
    ただ指差しをしないことについては、多少気にはなります。
    通常指差しをしない場合、指を差さずその方向に親を引っ張っていこうとする(クレーン行動と呼ばれる行為)のですが、読んだ限りそういったケースでもないようです。

    現在自閉的な傾向を心配されているのかなと思いますが、このような障害がある場合は、目がなかなか合わなかったりします。また、表情の豊かさなども気になるところがあるかと思います。
    歩けるようになってからも、一か所に関心がなく、キョロキョロしたり抱っこを嫌がり、大体ひとりで遊びたがったりなどの傾向があることが多いです。
    しかし、ご相談頂いた内容の場合、そのような傾向はなく、読んでほしい本を自分で持ってきたり、目が合い、期限もよく、手づかみでご飯を食べるなどとても意欲的です。そのため大きな心配はしなくても良い様に思えます。

    言葉が出てくるのが遅れることなども、気にされているかと思いますが、言葉の発言は大きな個人差があります。
    3~4歳でも話さなかったのに、小学校ではみんなと全く同様に。といううケースもよくございます。
    保護者の言葉の意味を、凡そでも理解しているようであれば、いずれ話し出すと考えて間違いありません。
    ただ、時々耳が聞こえていなかったことなどが判明することがありますが、お子さんは名前を呼ばれると振り返っていますから、しっかりと聞こえているのかなと思います。
    1歳1か月のため、このようなことはよくございます。ただ、言葉が気になる場合、目をよく見てゆっくりと話すような会話をおこなってください。
    いずれ、その子のコミュニケーションスタイルが出てくると思います。

    指差ししない・喋らない・指さししなかった理由と対策まとめ

    「指さし」は、自分自身(子ども)がやりたいこと・お願いしたいことを、他者(大人)へ伝える大切なコミュニケーション手段です。
    人によって指差しの成長速度は異なるので、子供に合わせての心身発達のサポートが必要なケースがございます。

    他にも、大人のほうで全て子どもの行動を決めてしまうと、「自分での選択」ができず、指さし等の成長を阻害してしまうこともございますので、自ら選択するように一緒に考えてあげてサポートすることが大切です。

    お子さまのことでお悩みがある場合、ちょっとしたご相談などでも、お気軽にお問い合わせください。
    杜のつぐみ療育園では

    ・コミュニケーションが苦手な子
    ・行動コントロールが苦手な子
    ・気持ちのコントロールが苦手な子

    ・変化に敏感な子
    ・注意散漫になりやすい子

    上記のお子様に対し、見守るだけではなく

    ・楽しくお話できたら、「楽しくお話できたね。」
    ・おもちゃを貸してくれたら「貸してくれて優しいね。」

    等々、話をする中で「自己肯定感」が高くなる様な、接し方を意識しております。

    また、お子様それぞれの特性に合わせた、課題を考え計画に沿っての支援を行っております。 まずはちょっとしたことでも、お気軽にお問い合わせください!

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